
京成で1988年(昭和63年)まで活躍していた京成2100形2101〜2109(2000形2008含)および210形210〜219は、クハ2100形(2008)の中間にモハ210形2両を挟んだ4両固定編成でした。

青電系列の流れをくむ車両でありながら、4両固定編成編成化される際に210形がカルダン駆動化改造を受け、高性能車となったことは周知の通りですが、モーターや制御系の音がきわめて静かで、その静粛性は赤電以上だった記憶があります。
ただ、おそらく先頭車である2100形の台車付近から発せられていた音かと思いますが、車輪のフラットとは明らかに異なる走行時の「ガガガガガ・・・」というような音が非常に耳障りで、せっかくの210形の静けさをスポイルしてしまっているような感じがしてなりませんでした。
一体それは何の音だったのか、いまだに謎のままです。
一方、ブレーキ装置についてはHSC化されず、自動空気ブレーキのままだったという点は青電系列の車両らしく、完全なる高性能車にはなりきれていなかったと言えるでしょう。
また、主電動機出力は赤電よりも大きい110kWだったものの、2M2Tのため起動加速度も吊り掛け車とあまり変わりなく、低加速度車向けに特別に組まれたダイヤ枠で運用されていたほどでした。
とはいえ京成津田沼〜京成幕張間の国鉄との並走区間で国鉄の車両に負けることはめったになく、時には運転手がムキになって100km以上出したのも目撃したことがあるので、高速域における性能はそれほど悪くはなかったと言えそうです。
1980年(昭和55年)より赤電が塗色変更された際、この2100・210形および2008も青電塗色とはおさらばしてファイアーオレンジとなり、赤電に酷似した見た目となったものの、性能的には廃車時まで変わることはなく、赤電よりも劣ったままでした。
1932年(昭和7年)に登場した210形は1967年(昭和42年)の更新により台枠のみ再用した以外は車体が新製され、下回りも高性能化によりほとんどが新しくされたことから、その時点で新車同様になったと言えますが、車籍上は1932年の登場に変わりなく、それが昭和末期まで55年以上も活躍していたとはずいぶん長持ちしたものだと思います。

また、2000形2008も車体は全金属製に更新されたものながら、戦災国電の払い下げ車両であることを考えると相当な古さですが、同じ2000形の中には新京成に譲渡され平成に入ってからも使用された車両がありました。
個人的には前照灯の2灯化や貫通幌の撤去などによる近代的なスタイルと、古めかしい側面ベンチレーターの組み合わせという2008のミスマッチ感がたまらなかったものです。

