
今さらながら、路線が隣り合った大手私鉄同士で「100」を冠する新型特急専用車両を登場させ、その営業運転開始が1990年6月1日(東武スペーシア)と同6月21日(京成ニュースカイライナー)ときわめて近かったのは大きな偶然と言えるでしょう。
およそ11年後の2001年12月からは京成AE100形が早くも内装のリニューアル工事が順次施工され、さらに9年後の2010年7月には第一線としての活躍を新たに登場した新型AE形に譲り、すでに一部廃車も出たのに対し、東武100系は登場から21年以上が経過した今になってようやくリニューアルが行われ、おそらくは全編成が最低でもあと10年前後は活躍を続けるのではないかと思われます。なおそのリニューアルは外装カラーと内装のみにとどまり、機器類の更新は行われていないため、今ではあまり耳にする機会がなくなった段階がはっきりとわかるVVVFの起動加速時の磁励音もまだなお健在です。(東武鉄道公式PDF)



ところで、京成の場合は新しく開業する成田スカイアクセス向けに最高速度160kmで走行可能な新車両を導入しなければならなかった事情はあるにせよ、東武をはじめ他社の特急車と比べても世代交代が早かったという印象は否めません。もっとも京成では1600形特急車が14年程度、初代AE形が20年程度と歴代特急車の世代交代が早いのが特徴となってはいるのですが、従来は必ず特急車の下回りを流用のうえ通勤車化されたものです。ところがAE100形の場合は7本中3本とはいえ下回りも含めて廃車となってしまい、通勤車両では車歴40年を超えるような非回生の抵抗制御車がまだまだ残る京成だというのに、まさかVVVFインバータ制御の車両が引退になろうとは驚かされました。ちなみに試作や改造を含めない量産VVVF車の廃車はJRではすでに例があるものの、私鉄界ではこの京成AE形が初ではないかと思われます。
とはいえ、AE100形4本が「シティーライナー」専用車両として引き続き使用されることになったのが救いであるということは当方これまでに何度も言い続けてきましたが、そのシティーライナーの利用状況は相変わらず悲惨としか言いようがありません。つい先日も夕方下りの便を大久保付近で見かけましたが、8両編成に5名ほどの乗客しか乗っておらず見ているこちらが悲しくなってくるほどです。もはや京成としてもほとんどあきらめており近いうちの廃止を検討しているのかもしれませんが、その前に試験的にでもいいので一度料金を現在の半額程度にして、それでどの程度乗客が増えるか確かめてみるべきではないかと。現状よりも値下げして利用客が増えた方が収益自体も上がるというのは素人でもわかることで、そうなればおのずと運用を継続できることにもつながるでしょう。
あるいはシティーライナーを押上まで運行し、京成沿線から5月に開業する東京スカイツリーへのアクセス専用特急としてアピールするならばわりと利用客の増加に効果があるかもしれません。もちろんその場合でも値下げは必須ですが・・・

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