
中国浙江省温州市で23日夜に発生した高速鉄道列車の追突・脱線事故では、「落雷による設備故障」という事故原因からしてまず驚かされました。それが事実なのかどうかまだ定かではないものの、とにかく落雷で事故というのは現在の日本の鉄道ではちょっと考えられないことではないかと思います。
もっと信じられなかったのは事故後の対応の数々です。中でも事故発生の翌日に早くも営業運転を再開したことには本当にビックリでした。日本の場合、例えば2005年4月に発生したJR福知山線の事故では復旧までに55日を要しています。今回はそれに比べ犠牲者の数は少なく、被害もさほどではないかもしれませんが、それにしてもまだはっきりとした事故原因が究明されず、高架橋も事故による破損等が生々しく残る中、あまりにも復旧が早すぎるのではないかと思ったのは当方だけではないでしょう。
さらにもっと驚愕させられたのは、原因究明のために欠かせない事故車両を破壊したり、地面に穴を掘って埋めたりしていたことです。これでは証拠隠滅をしたという見方をされても仕方なく、事故をなかったことにするために必死になっているとしか思えません。その後一度土に埋めた車両をまた掘り起こしたらしく、まったく何をやろうとしているのか理解に苦しむところで、もう驚きを通り越してただただ呆れるばかりです。
中国という国はこれまで鉄道の分野以外でも食品による健康被害やコピー商品など何かと問題を引き起こすことが多かったように思えますが、今回の鉄道事故の一件により管理人の中ではますます不信感が募る一方となってしまいました。
また、中国での鉄道事故といえば日本からの修学旅行生が多数犠牲になった1988年3月の上海列車事故が思い出されるところで、確かこの際にも安全性の問題や事故後の対応の不手際などが大きく報じられていた記憶があり、いくら鉄道好きでも中国の列車にだけは絶対に乗りたくないとつくづく思ったものですが、それから23年という月日が経過し、技術の進歩などにより中国の鉄道事情もだいぶ改善されただろうと思いきや、相変わらず肝心な安全性がおざなりにされている実情を知って唖然とさせられました。
ここ数年で中国高速鉄道の路線網が急速に拡大し、今やその路線長は日本の新幹線の4倍にも達しているという事実にもまったく驚きでしたが、列車が高速化されればそれだけ事故を起こした際の被害も甚大なものとなるわけで、これほどずさんな体質だと今後もまた大事故を起こすような気がしてならず、あらためて中国の鉄道にはとても怖くて乗れないという思いが高まった次第です。
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